est / エスト

広がる平野、壮大な山々、広大な森林、そして島国ならではの潤沢な水源、日本は豊かな自然に囲まれ、自然から多くの恩恵を受けながら生活を紡いできました。この恩恵により与えられる代表的なものに、四季折々に姿を変える美しい風景と、「新物」や「旬物」と呼ばれるその時期にしか手に入らない栄養豊富な食材があります。

この美しい自然への感謝の気持ちと自然と共存する大切さは先祖代々から受け継がれ、我々の生活には「季節感」という感覚が浸透されました。そして、この季節や自然に対する敬意の意識が日本独自の文化や価値観と強く結びついているとestは信じています。

しかしながら現代の我々を取り巻く環境はどうでしょうか？

食品売り場には、季節に関係なく常に多くの食材がきれいに並べられ、いつ訪れても欲しいものが手に入る世の中となりました。我々は便利な日常を手に入れた代わりに、古くから受け継がれてきた自然との共存や季節のリズムに耳を傾ける事を忘れがちになっていると感じております。

このような中でestでは、その季節や時期に一番の食べ頃を迎える食材を全国各地から取り寄せ、高いフレンチの技法で風味、色彩、形、味ともに芸術といえるレベルまで仕上げご提供しております。コースの最後を彩るアートのようなデセールからは、巡る日本の季節をお愉しみいただけます。

そのため、estのお料理からは 運ばれてきた瞬間に放つ季節感と、一口で広がる自然の恵みを身体いっぱいに感じて頂けます。同時に、お客様には日本が持つ食の豊かさの再確認と、自然から頂く恵みや繋がりを深く感じて頂ける事を願っております。

また、estではお料理を通じて日本特有の伝統や慣習を守り、そしてこの文化を次世代へと繋ぐ「架け橋」の役目を担っていきたいと願います。実際にestのお取引先には小規模な農家、業者、猟師や採集者が多く、彼らは何世代にも渡って継承された昔ながらの方法で生産を続けながら、estに常に鮮度の高い食材を届けております。

国内の食材にこだわる理由には、その他にも、カーボン・フットプリント（二酸化炭素排出量）の削減に努めた運営の為でもあります。特別なファインダイニング体験のご提供としてお客様の心を高める高級食材でありながら、日本では生産が難しいトリュフやキャビアなどを除き、牛肉は和歌山、雲丹は北海道など肉類や魚介類を含め多くの食材は国産を使用し、輸送の際に放出されるカーボン・フットプリント削減の貢献を考えております。

提供する水やスパークリングウォーターも、日本のさまざまな山岳地帯から採水された天然水で、ワインは日本各地のものを中心に、ヨーロッパのヴィンテージやニューワールド等も取り揃えております。